2020/08/27 Nature

2020/08/27 Natureに載った面白そうな論文たち

電気で制御できる超小型アクチュエーター

微細加工技術により、電気的に制御できるμmオーダーのアクチュエーターを新作。実際に数百μm以下のサイズの歩行ロボットを作成。大量生産も可能とのこと。

  • 薬を狙った細胞に届けるなど、医学・生物学への応用に期待できそう

南極氷棚の雪解け水に対する脆弱性

現在の地球温暖化により、南極の雪が解けている。南極の氷棚の中で、雪解け水によって壊されやすい箇所をディープラーニングや理論計算により推定。

ニューギニアの植生マップを作成

ニューギニア島にて植物の専門家が徹底的に調査した結果をカタログ化した。13,634種、1,742属、264科の植物が確認され、最も植生が多様な島であると言える。

  • 超大規模な調査のまとめ。Natureには珍しいタイプの論文?Fig. 2の植物の写真がきれいで楽しい

イナゴが群れを作る際のフェロモンとして、4-ビニルアニソールを同定

イナゴの群れは農業・環境的に問題だが、イナゴが単独型から群衆型に移行する際のシグナル(「集群フェロモン」)の実態は不明であった。今回4-ビニルアニソールが集群フェロモンであることを同定した。

  • とてもきれいな構成の論文。農業などへの応用も期待できそう

線虫の神経細胞の種類はホメオボックス遺伝子の発現パターンで区別できる

  • 1種類の転写因子familyの発現パターンで全神経細胞の多様性を記述できるのは面白いです

長時間作用型HIV治療薬に関する第1相臨床試験

X線構造解析の情報を用い、HIVウイルスのカプシドタンパク質の機能を抑制する低分子薬GS-6207を設計。細胞実験と第1相臨床試験により、HIVウイルスに対する効果を確認。1回の皮下投与で約6ヶ月効果が持続する結果も得られた。薬の服用をあまり守らないHIV患者に対しても治療できる可能性がある。

  • 今後の臨床試験が楽しみ。X線構造解析を起点とする創薬は今後ますます増えそう

FLT3遺伝子の変異は自己免疫性甲状腺疾患のリスク要因である

アイスランドとイギリスにおけるゲノムワイド関連研究により、FLT3遺伝子の特定の変異があることで自己免疫性甲状腺疾患のリスクが1.46倍上昇することが判明した。

  • 典型的なゲノムワイド関連研究の論文。数10万人のゲノムデータという規模感がすごい